前田敦子はキリストをこえた
前田敦子はキリストを超えた: 〈宗教〉としてのAKB48 (ちくま新書)
- 作者: 濱野智史
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/12/07
- メディア: 新書
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人間の罪を一身に背負い、石もって追われながら磔死したキリストと、匿名のネット空間から「アンチ」の集中砲火を一身に受け止めて踏ん張った前田敦子に「宗教」的共通性を見出して、AKBを「宗教」に例える試みは面白い。ただ、それを補強するために次から次へと持ち出される聖書やらマルクスやらニーチェやらウェーバーやらで塗り固め、かと思えばAKB劇場の公演はいかに素晴らしいかといった「レポ」(レポート)に飛んでみたりと、まとまりや一貫性に欠けてしまっている。
黒板いっぱいにキーワードやら参考文献やらを書き連ねたと思えば「ところでさー、この間ねー」と、机に腰掛けてどうでもいい話を「知的に」語る(つもりでいる)「Gパンをはいた准教授」の講義を聞かされているような読後感。「ヲタ」の心理を知る分には良いかもしれないが、論理は思いつきのレベルを超えていない。著者自身、何年後かに読み返したら、間違いなく赤面ものだろう。
アウトロー集団の組織論
- 作者: 溝口敦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/09/16
- メディア: 新書
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- 作者: 山平重樹
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/01
- メディア: 新書
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同じ対象を扱ってはいるが、捉え方は180度違うので、読み比べてみると面白い。
前者は、まさに「非合法・暴力集団」としての彼らの行動分析と、どうすればトラブルに巻き込まれないかの指南。後者はヤクザを「負のサービス産業」(ややこしいこと、できれば関わりたくないトラブルを解決してもらう)として、「カタギさんのニーズ」のもとにあるととらえ、彼らが組織を維持していくための様々な努力。業界の入門書といった内容。
「たぐいまれな才能」をどう伸ばすか?
- 作者: 小堺正記
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/03/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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演歌歌手「ジェロ」が誕生するまでの秘話。彼のライフヒストリーも面白いが、地方ののど自慢大会で彼の才能を見出して、どうすればヒットするか、どう売り出すかを考え抜いたレコード会社の担当者の熱意と執念に共感した。社内の大反対に遭いながらも試行錯誤を繰り返し、紅白にまで上り詰めさせた裏方の苦労は、音楽版「プロジェクトX」である。
たぐいまれな才能、しかし世の中の「常識」とは全く合わない時、指導者はどうあるべきか。考える上でヒントになるのでは?
廣島⇒ヒロシマ⇒広島
- 作者: 浜井信三,よみがえった都市―復興への軌跡
- 出版社/メーカー: シフトプロジェクト
- 発売日: 2011
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戦後、初の公選で当選した広島市長の復興奮闘記。もともとは、中国新聞に連載された「市長秘話」が昭和42年に単行本化されたもの。2011年、東日本大震災に合わせて復刻された。
戦前の「軍都」としての廣島(市長はこの時、市役所の配給課長)、原爆が落ちて地獄と化したヒロシマ(市長は市民の為の衣食住の手配に自転車一つで奔走する)、そして40歳でいきなり市長選に担ぎ出され、焼け跡の再生に奔走、スキャンダルで一度落選してまた復活等々、ダイナミックな自叙伝である。
「ヒロシマ」は必ず「広島」になり、「廣島」以上の街になった。それを教訓に、これから起こりうる復興への課題に微力を尽くせればと思った。
「茶どころ」の人間は買って損はなし
- 作者: 高宇政光
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2002/10
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「静岡鉄道」が、茶の問屋街と清水港を結ぶ輸出茶用の鉄道として機能していたとは知らなかった。
「オフレコ」の妙
- 作者: 古川隆久
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/04/01
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レーガン - いかにして「アメリカの偶像」となったか (中公新書)
- 作者: 村田晃嗣
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/11/24
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ある意味、20世紀、特に戦後の両国民にとって「カリスマ」ともいえる2人であるが、その「戦前」に何をし、何を考えたかを見るとなかなか興味深い。昭和天皇は念願のヨーロッパ旅行を遂げ、レーガンはラジオのDJから俳優になった。ともに極度なまでに「反共」にこだわり、「一言多い」人であったことも共通しているように見える。
死後20年近くが経過して、「実はこんなことを言っていた」という事を出しても構わなくなってきたからこそ出てきた側近に語った「オフレコ発言」の数々が面白い。
戦争は、重大なる才能の浪費である。
- 作者: 吉村昭
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/11
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- 作者: 吉村昭
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1978/04/03
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コンピューターも、ロボットもない時代にこれほどの工作物が作られたこと、そして両者の冒頭で登場するシーンに象徴されるようにそれが一般市民から完璧なまでに秘匿された中で行われていたことに、この時代の熱さと重苦しさを感じる。
民族の持つ最高の英知と、取り出せるを結集させ、それを一気に破壊してしまう戦争。1㎜、1gの細部までにこだわって設計し、食べる物も我慢して創り上げた工作物と熟練した技術者・乗組員を最後は使い捨てが如く消耗して行く指導者達。戦争は重大な犯罪である。目に見える「死」は遠のいたものの「戦争」は、まだまだ続いているのかもしれない。