戦争は、重大なる才能の浪費である。

戦艦武蔵 (新潮文庫)

戦艦武蔵 (新潮文庫)

零式戦闘機 (新潮文庫)

零式戦闘機 (新潮文庫)

「槌音」が聞こえてきそうな技術小説。理系の高校生、大学生に是非読んでほしい。
 コンピューターも、ロボットもない時代にこれほどの工作物が作られたこと、そして両者の冒頭で登場するシーンに象徴されるようにそれが一般市民から完璧なまでに秘匿された中で行われていたことに、この時代の熱さと重苦しさを感じる。
 民族の持つ最高の英知と、取り出せるを結集させ、それを一気に破壊してしまう戦争。1㎜、1gの細部までにこだわって設計し、食べる物も我慢して創り上げた工作物と熟練した技術者・乗組員を最後は使い捨てが如く消耗して行く指導者達。戦争は重大な犯罪である。目に見える「死」は遠のいたものの「戦争」は、まだまだ続いているのかもしれない。