「オフレコ」の妙

昭和天皇―「理性の君主」の孤独 (中公新書)

昭和天皇―「理性の君主」の孤独 (中公新書)

 中公新書から立て続けに出た2冊の伝記。昭和天皇が1901年生まれ、レーガンが1911年生まれと10歳の年齢差があるが、共に「戦中・戦後」の激動の中を生きてきた人である。
 ある意味、20世紀、特に戦後の両国民にとって「カリスマ」ともいえる2人であるが、その「戦前」に何をし、何を考えたかを見るとなかなか興味深い。昭和天皇は念願のヨーロッパ旅行を遂げ、レーガンはラジオのDJから俳優になった。ともに極度なまでに「反共」にこだわり、「一言多い」人であったことも共通しているように見える。
 死後20年近くが経過して、「実はこんなことを言っていた」という事を出しても構わなくなってきたからこそ出てきた側近に語った「オフレコ発言」の数々が面白い。