ビッグデータとは?

 

ビッグデータの覇者たち (講談社現代新書)

ビッグデータの覇者たち (講談社現代新書)

 シリコンバレー在住のコンサルタントながら、「ビデオの録画すらできないワーキングマザー」である著者が、丹念な取材をもとに書いた極めて「文系ライク」な入門書。「ビッグデータ」という言葉が何かとてつもなく素晴らしく、高度な技術のように見えるが「なんだ、そういうことか」と腑に落ちる。
 「会社そのものがビッグデータ」ともいえるGoogleのビジネスモデルや、「ビッグデータ関係者はなぜか野球のたとえが好き」であり、彼らの仕事を一気に広める機会なった映画(原作の小説はデータ分析の部分がもっとマニアックに書かれているらしい)「マネー・ボール」の紹介、「組織票・ドブ板」の共和党優勢に対して「ビッグデータ・草の根」で見事に勝った2期目のオバマ大統領の選挙、震災後の交通情報で一躍有名になったホンダのカーナビデータ分析など最近の日本の話題まで、コンパクトにまとまっていて大変わかりやすい。 言語や画像に比べて数字の羅列である位置情報(GPS)は分析がしやすく、今後技術を牽引する可能性があること、いくらビッグデータとはいえ、分析者が明確な意図を持って加工し、導き出そうとしない限り、データは活用されないことなど、当たり前のことながら、「地理学」をやっている人間にとっては福音とも言える見解が散りばめられている。