読むだけで英語が上手くなるわけではありませんが

外国語の壁は理系思考で壊す (集英社新書)

外国語の壁は理系思考で壊す (集英社新書)

 主張は大変明快である。外国語は使ってなんぼ。語彙を増やして、とにかく使う。でも、きっちりさせるところはきっちりする。発音よりもイントネーションに注意する。翻訳しないで、入力された順番通りに理解する、書き言葉と話言葉は違うが、どちらも大事にする等々。

 著者は1937年(昭和12年)生まれの宇宙物理学者。「語学の専門家でもないのになぜ語学論?」と思うが、「理系の研究者」の共通語は英語(しかもつたない、それぞれの国のなまりが色濃く出る“プア・イングリッシュ)。成果を英文で論文化し、国際学会に出て、初めて英語で論文を書く大学院生達を鍛えて来た経験からにじみ出る「語学論」は、まさに現場のそれである。
 理系の先生らしく、出てくる例えや解説が面白い。年齢とともに耳が遠くなり、人の話之内容が分からなくなっていくメカニズムから、習い始めの言語之ちんぷんかんぷんさの仕組みを解き、自動車教習所で習う運転技術と、免許を取った後でおっかなびっくり走りながら身につける運転技術の違い等、分かりやすい。
 だいたい自由に車を操れるまで1万kmぐらいらしい。だから英語もそのくらい(500時間ぐらい、文字数で600万時=新書60冊分“実地で走る”経験をすれば大丈夫とのこと。コツコツやってみよう。
 
中央図書館 B807