社会起業家の挫折とリトライ

やりたいことがないヤツは社会起業家になれ

やりたいことがないヤツは社会起業家になれ

 東京に生まれ、大学は慶応大学SFCへ。在学中にビジネスに目覚めて学生社長として大活躍。でも、ふっとスイッチが切れるようにしてそれを辞め、まわりが就職活動にいそしむのを横目に「自分探し」のために離島でバイト三昧。昼は灼熱の養魚場で夜は、「星でビールが飲めることを初めて知った」(このフレーズ、すごくよい)くらいの空の下、著者は悟る。「そうか、自分がやりたいことが見つからないのなら、人がやりたいことを手伝えばいいんだ」
 今をときめく「社会起業家」。著書も何冊か出ている著者だが、思いついて、やってみて、軌道に乗りかかって、「でも、ビジネスとして成り立たない=黒字が出ない」時点で撤退する。「お金のためにやってるんじゃない」とか、「ただでさえ貧しい人からたくさんお金はもらえない」でも、「自分も食っていけなければ意味がない」と、行っては戻りの繰り返し。「起業家」で大事なのは、失敗を素直に失敗として認めることが出来る事なんだとつくづく思う。
 現在は、「やっと黒字に持ちこめた」という「トキワ荘プロジェクト」(地方在住の漫画家志望の人たちに格安で下宿を貸してデビューを支援する)を足がかりに、
「日本中退防止研究所」(中退者、特に大学での中退の未然防止と中退者へのフォロー)を立ち上げて活躍中。
 タイトル通り、逆転の発想と本音の「ぼやき」が読んでいて心地よい。そうか、「やりたいこと」を見つけて「やりたい仕事」に就くだけが人生じゃないんだ。なかなか真似はできないと思うけど、「進路」どうしたらいいのか、悩んでいる人、取りかかりもつかない人にはお薦めしたい。
著者のブログ
http://blog.kotolier.org/
富士中央図W335.8