日本史を学ばせてもらえない「理系」は必読!

 

「理科」で歴史を読みなおす (ちくま新書)

「理科」で歴史を読みなおす (ちくま新書)

「読み直す」というよりも、「新たに面白さを知る」というニュアンスが強い本。
 農耕、天文学、数の数え方と数学、鉱山開発と治金術など、日本史を中心に、「テクノロジー」の観点から概観している。
 特に、鉱山開発と治金術の歴史を扱った章はめっぽう面白い。奈良の大仏は、当時の世界の治金術の最高峰だったにもか
かわらず、平安・鎌倉期に技術の伝承は衰退、鎌倉の大仏の原料は中国から輸入した銅銭だった(しかもそれを大量の金銀
で買い付け)というくだりは「へぇー」とうなってしまった。ハイテクは、発見よりも普及と伝承が難しいのではないだろうか。