「普天間」もつらいが、「嘉手納」も痛いぞ・・・・!

沖縄現代史 (岩波新書)

沖縄現代史 (岩波新書)

 敗戦、アメリカ軍による軍事占領、本土復帰、国体開催と日の丸焼却事件、少女暴行事件と土地収用の代理署名拒否・・・と、次第に「リアルタイムな歴史」になるにつれて、「ああ、そういうことだったのか」とわかる沖縄の通史。
 普天間基地の移設の候補に「嘉手納基地」があるが、この嘉手納をめぐる地主と米軍、日本政府(防衛施設庁)のやり取りが一番胸を打つ。同じ日本なのに、本土で適用されている法律運用が違う(借地の借用年限は3年が慣例なのに、沖縄では5年、10年、20年契約を国が一方的に定めている)ことや、「借地代をまとめ渡し」をして、莫大な所得税として吸い上げ直し、それによる一時的な収入増によって年金を減らしたり、保育園の保育料を上げるなど、どうみても「いやがらせ」としか思えないような仕打ちを国の機関がやってのけてきた事実を見ると、「お上」の陰湿さと巧妙さが透けて見える。
 基地の移転は「県内」か「県外」か、はたまた「国外か」でもめているが、「沖縄」ゆえに強いられて来た不便とつらさにもう一度しっかり目を向けるべきだと思う。今こそ読んでおきたい本の一つ。