「針葉樹」「広葉樹」−地図記号の見方が変わる

日本の美林 (岩波新書)

日本の美林 (岩波新書)

 地形図で目にする地図記号に「針葉樹」と「広葉樹」がある。
旧版地形図から現代の地形図を比べてみる中で、記号の転換が大きくなされる場所があるはずである。特に「広葉樹」から「針葉樹」への転換が著しく、今人里に近い「ヤマ」の多くは、針葉樹からなる人工林である。
 なぜそのような事になったのか、それだけ多くの針葉樹を抱えながら、なぜ林業は衰退してしまったのか、その答えはこの本の1章を読めばわかる。良かれと思って植林した「人工美林」の末路。
 今残る、全国の「美林」を紹介した各章。風変わりなところでは、まったくの荒れ地に森を作った8章「創造の森」の章が面白い。有名な襟裳岬の魚付き林、足尾銅山鉱毒の再興を担った渡良瀬渓谷、NHKの「ブラタモリ」で紹介された「明治神宮の杜」が紹介されている。

富士市図書館B652.1