鉄道の歴史はこんなに面白い

鉄道地図の謎から歴史を読む方法 (KAWADE夢新書)

鉄道地図の謎から歴史を読む方法 (KAWADE夢新書)

 日本最初の鉄道は、新橋―横浜間。でもその数カ月前から機関車はお客を乗せて品川―横浜間を「試運転」していた。新政府の権威をにぎにぎしく見せるべく、政治ショーとしての鉄道の「東京」入りが演出された(品川は当時は「東京市」ではない)。日本で2番目の鉄道も同様に、神戸〜大阪間で「試運転」が繰り返され、「京都駅」に後、明治天皇をお招きしてにぎにぎしく開通を祝った。日本で3番目は、両者をつなぐ鉄路ではなく、北海道の小樽と札幌、そして炭田を結ぶ鉄路だった・・・・「テツ」には常識かもしれないが、地理心、歴史心を揺さぶるエピソードが満載。無味乾燥な「政治史」「金融史」にうんざりして、「明治以降はどうも苦手だ」と嘆く日本史学習者にもぜひ勧めたい。鉄道で日本史を見るとこんなに面白いのかと・・・。
 ちなみに、私自身は「日本で最初の鉄道トンネルは、山ではなく、六甲山麓扇状地にできた“天井川”の下をくぐるために掘られた」というエピソードに、「へぇー」を10回ぐらい押したくなった(古い)。

 著者は学者さんではなく、長らくサントリーで会社員勤めをされながら執筆活動を続け(サントリ美術館の広報部長)、50代で独立してライター・小説家になられた人。現在御歳64歳にして著書100冊以上。「二束のわらじも極めればここまで出来るのか」という意味でも元気づけられる本である。
「50代になってから、大好きな鉄道に関する著書が増えた。他にはない、“鉄道ビジネス書”を目指す」と意気込む氏のサイトも要注目!
富士市立中央図書館B686.2】

野村正樹公式ホームページ
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nml/