木造建築は日本の宝だ!

宮大工と歩く千年の古寺―ここだけは見ておきたい古建築の美と技

宮大工と歩く千年の古寺―ここだけは見ておきたい古建築の美と技

 著者は静岡県藤枝市で生まれ育ち、17歳で大工の道へ。以来、藤枝を拠点に全国各地の国宝・重要文化財の寺社を「修理」することを専門に働いてきた宮大工である。
 修理といっても、外からちょいちょい直すわけではない。最近では唐招提寺が話題になったように、建物を一旦バラバラにして部材を替えたり削ったりしてもう一度立て直すのである。それを60年近くやってきた著者だからこそ、古建築の「美」の説明に説得力がある。
 奈良、京都、和歌山、尾道などの古寺が登場するが、特によかったのが平等院の解説。著者が若い時(戦後すぐの頃)、ニューヨークの博覧会に出展するために、平等院の建て方をそっくりそのままに作った「模型」づくりにかかわったことが「修理大工」としてやっていく事のきっかけになっただけに、思い入れが強いとのこと。宇治で働いていた人間としては、「うんうん、わかるわかる」という感じ。
 こんなすごい人が藤枝を拠点に活躍しているとは。うーん、素晴らしい。