笑って泣ける、地域活性化物語

恋に導かれた観光再生―奇跡のバリアフリー観光誕生の秘密

恋に導かれた観光再生―奇跡のバリアフリー観光誕生の秘密

伊勢・志摩を「バリアフリー観光のメッカ」にしようというNPOの立ち上げから現在に至るまでの苦労話を、理事長自らが綴った本。

タイトルは、現事務局長をされている女性が、アルバイト先で知り合った車椅子の青年に「ストンと音を立てるように恋に落ち」(この表現が大変気に入りました。)彼の気を引くために、車椅子で行けるおしゃれな店のガイドブックを書こうと、水族館の副館長の傍ら、NPOづくりを支援するNPOを主催していた筆者のもとを訪ねるところから物語は始まります。


「不謹慎かもしれないが、障害者マーケットは大きく、儲かる」「障害者だってゆったりしたいし、おしゃれなところに行きたい」ということで、情報誌作りは県知事までも巻き込み、とうとう鳥羽市バリアフリー専門の観光相談所」を設置するまでに至ります。

いいことばかりでなく、悩みもたくさん挙げられ,「めでたしめでたし」で終わっていないのがミソ。「年間1000万円の事業費は、補助金と委託事業だのみ。」「スタッフには法定最低賃金しか払えない。」「事務局長はパート並みの待遇で社長級の仕事をこなす」「保守的な人々ににらまれ、陰口をたたかれ・・・」等々、NPOと聞けばかっこいいですが、実際は非常に厳しい業界なんだなということがよくわかります。



「まちづくり」や「観光ボランティア」は、非常に魅力的な仕事であり、私も学生時代そのようなアルバイトをしていましたが、それで家族を養い、飯を食うとなると、まだまだ厳しい世の中のようです。よくわからない博覧会やモニュメントを作るくらいなら、こういう団体に継続的に補助するような仕組みがあってもいいようにも思えます。ともあれ、NPOのことがよくわかる、面白い本でした。

Webサイトでは、「専門員」の皆さんが実地で試したレポート、バリアフリートイレマップ」「車椅子で行ける釣り場マップ」等、地理心をくすぐるレポートが満載です。

輝かしい教員の1年目を三重県(津市)で過ごし、休みの日には釣り三昧た私としては、すごく懐かしいマップでもありました。

【リンク】

NPO法人 伊勢志摩バリアフリーセンター

http://www.barifuri.com/