「決闘」・・・なのかな?

決闘 ネット「光の道」革命 (文春新書)

決闘 ネット「光の道」革命 (文春新書)

「メタルの電話線を全部やめて、光ファイバーをすべての家庭に敷いて、利用料金をADSL並みにせよ」という孫正義氏の主張に対して、「そんなことを手掛ける前に、やるべきことは何ぼでもある」という佐々木俊尚氏が噛みつく・・・・という構成なのだが、「巌流島」だとか、「対決」だとかあおる割にはあまり対立していないように見える。ちょっとそのあたりの「脂っこさ」が、読みつけない人には重たいかも。

 「決闘」・「公式戦」というよりは「師範による試合前の模範演技」(剣道型)を見せられたような感じ。切り筋は鮮やかだが、血も流れなければ切り結ぶ金属音もない。まあ、これも話題作りの「お祭り」みたいなものか。U-Streamで生中継されたそうだし・・・。ただ、単に主張を並べ立てるよりはこの方が読んでいて面白いし、中身が深まることは確か。「決闘風」に仕立てて、面白く読める新書に編集者の腕に一本。
 キーワードばかりが先行してしまっている「電子教科書」について、旗振り役の考えをうかがい知ることが出来る。賛成派も反対派も、ここは一読を勧めたい。