クルマの勉強をしたくなったら・・・・。

世界が俺を待っている―本田宗一郎伝

世界が俺を待っている―本田宗一郎伝

電気自動車 ――「燃やさない文明」への大転換 (ちくまプリマー新書)

電気自動車 ――「燃やさない文明」への大転換 (ちくまプリマー新書)

理系の生徒(特に男子)の半分ぐらいが「クルマをやりたい」「エンジンをやりたい」と、のたまうこの季節、そもそも「クルマの勉強って何をするの?」というご本人および文系の担任さんにお勧め。
 「世界が・・・」の方は、いわずと知れたホンダの創業者、本田宗一郎の評伝。大正〜昭和前期、自動車整備工場の小僧からスタートした宗一郎氏の苦労や、戦後、焼け跡の中から拾ってきた軍用エンジンを自転車につけて売り出した(原付のルーツ)頃、そしてバイクから自動車、F1に手を出していく過程は、「日本の自動車の歴史」そのものである。専門用語がバリバリ出て来て、ぶん殴られたり事故ったり結構痛いシーンも出て来るので、漠然と「クルマやりたい」という生徒には「これを読んで、それでもやりたかったらどう?」という感じで勧めてみるのはどうか。
 それにしても小学校しか出ていない宗一郎氏が、独学での部品製造に行き詰まり、30歳近くになって大学に聴講生として通うものの、「問題学生」として放校処分にされた時の啖呵は痛快。「勉強するために学校に行く」のではなく、「分からないこと、解決したい事があるから学びに行く」姿勢は学びたいところ。
 「電気自動車」は、最近話題のコンテンツだが、この本は入門書の決定版といえる。「ビッグ3」(限られた超大企業とその系列)がクルマの生産を独占するガソリンエンジン車の時代から、「スモールハンドレット」(数百社のベンチャー企業がしのぎを削る)時代に移行しているとの認識と、「燃やさない文明」に移行する「第二の産業革命」論は必読。メーカーへの取材が丁寧で、試乗レポートや使い方の提案など、細かいところにも目が行きとどいている。